その灯火が消えるまで
「あれ?!やだどうしたの貴也?!」
「………」
「ワンッ!」
「きゃああああ!かわいーーー!!」
午後7時。
我が家の玄関。
びしょ濡れの俺と、びしょ濡れの犬一匹。
母さんは、俺が連れてきた犬に歓喜。
「なにっ!何があったの?!
この仔犬、もらっていいのっ?!」
「…………拾った」
母さんは犬を抱きながら、首を傾げる。
「どこでよ?」
「川」
「捨て犬?」
「そうみたいですけど」
母さんは嬉しそうに笑った。
「あんたが命を救ったのね」
「…………っ‼
べ、別に見過ごせなかっただけだし」
「うん」
母さんはまた、笑った。
「さ、この子とお風呂入ってきなさい」
「そいつと風呂?落ち着けねーじゃん」