その灯火が消えるまで
4
「オッス貴也!」
「…………」
期末テストが終わり、あとは夏休みを待つのみの頃。
その夜、俺は犬の散歩をしていた。
田んぼばっかの、電灯もまばらにしかない夜。
俺はわりと、夜の静かな散歩を毎日楽しんでいた。
そして、たまに出くわすのがコイツ。
「……結灯」
「やっほ!」
結灯はにっこりと片手をあげる。
「ワンッ!」
「お?けいたろも元気してた?」
結灯に突進していった犬はもちろん、
あの日の犬。
その名も、蛍太郎(けいたろう)♂。
蛍太郎が来てから約2週間。
犬の成長は早いもので、
蛍太郎は前よりでかくなった。
人懐こく、誰にでも飛び付いていく犬だけど。
中でも、結灯のことはお気に入りらしく、
会うとすごい勢いで突進していく。
ちなみに、名前は結灯に決めてもらった。
蛍太郎の由来は、
『全力で生を全うする男の中の男!』
だそうな。