その灯火が消えるまで
「ねーねー。無視はひどいな貴也くんよ」
「…………」
「ワンッ!」
結灯は、返事をしない俺の前に立ち、
足りない身長の分をジャンプしながら、
俺の目の前で手を振る。
そう。
俺は今、コイツに会いたくなかった。
「あははー。わかったー。まだテストのことですねてるんだ~」
ピク
「…………拗ねてねぇし」
「悔しかったんでしょ~」
「…………」
結灯はニヤニヤと俺を見る。
「た、か、や、くん」
「……………」
「た、か、や、く、ん」
「…………っ!」
「た、か、や、く」
「なんでてめぇの方が頭いいんだよ!」
だよ!
よ!
よ
よ………
静かな夜。
山に囲まれた田んぼだらけの田舎。
俺の叫び声が、こだまする。