その灯火が消えるまで
「……私はね」
結灯が口を開く。
「前の学校とか、前の土地での貴也のことは、知りたい気もするけど、まあどうだっていいんだよ」
「………どうだっていい?!」
結灯は相変わらず、いつもの楽しそうな口調。
「うん。どうだっていいや」
結灯は振り返って笑う。
「私はこの町、自分の学校、
クラスのみんなのことが、好き」
「…………」
何に繋げたいのか、見当もつかない。
ただただ、黙って聞く姿勢をとる。
「私は、周りの人たちに笑ってほしいんですよ」
「……それは素晴らしい考えですな」
「貴也もだよ」