純情シンデレラ
「ご飯、食べていきますよね?」
「いや。今日は遠慮しておくと決めていたんだ」
「あ・・そうですか。それじゃあ、あの・・送ってくださって、どうもありがとうございました」と私は言いながら、心は不穏な響きを立てていた。

実は松本さん、私を送りたくなかったのかもしれない。
それに今の話を聞いて、この人はなんというか・・失望したのかもしれない。
今、私が思ってるように。
私はこの人に、自分のこと―――たぶん、この人にとってはどうでもいい内容―――を話過ぎてしまった。

つくづく私はバカだなと思いながら、松本さんが差し出してくれた花束を受け取った。

「それじゃ・・あっ!駅までの道、分かりますか?」
「分かる」
「そうですか。それじゃあ、気をつけて」と言う私を、2・3秒見た松本さんは、「俺は、君が作ったコロッケを食べたい」とだけ言って、スタスタと歩いて行ってしまった。

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