純情シンデレラ
第二章 再会の夏
7月初めの土曜日。
私は父方のいとこにあたる、直美姉ちゃんの披露宴に出席するため、朝から涼里(すずさと)方面行きの特急列車に乗っていた。

私の(育ての)お父さんは、3人兄弟の長男で、次男の幸次郎伯父さんは、12年前から静かな観光地として名高い涼里高原に居を移し、家族でペンションを経営している。
直美姉ちゃんは、幸次郎伯父さんの娘(長女)だ。

見上の3兄弟である私のお父ちゃん(3男)と、私のお母ちゃん夫婦が事故で亡くなったとき、幸次郎伯父さん夫婦も、私を引き取ると申し出てくれたのだけれど、伯父さん夫婦には、そのときすでに3人子どもがいた上、当時伯母さんは4人目を妊娠中で、怪我の治療とリハビリを要していた私のお世話をする余裕があまりない。
しかも伯父さん夫婦は、ペンション(家族)経営を実現させるべく、物件・土地探しや、どこに居を移すか等、少しずつ動き出していたこともあり、そういう慌ただしい環境の中で、突然両親を失い、怪我を負ってる幼い私が暮らすのは、さらなる試練を与えるだけだということで、結局お父さん夫婦が、私を育てることになった。

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