純情シンデレラ
私の乗用車恐怖症を克服するため、車に乗ることに慣れる練習をしていた2ヶ月ちょっとの間、全面的に協力してくれた有栖川さんとは、当然よく会っていた。
会っていたのはもちろん、練習するときだけだったから、平均して週に1度くらいの割合だけど、それでも同じ会社に勤めている営業の松本さんと私が、偶然を含めても会う割合より、若干多いと思う。
練習するとき、車内には有栖川さんと私の二人しかいないから、お互いに色々なことを話すようになったし、色々なことにも気づくことができたのは、まぁ・・自然の成り行きと言えるのではないだろうか。

私たちはお互いのことが嫌いじゃなかったし、仕方なく会っていたわけでもない。
それでも私たちの間に芽生えた絆は、純粋な友情だけだったと断言できる。

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