聖夜は戦場
ここ最近、クリスマスに向けてや、そのすぐあとの年末年始に向けてずっと働きづめだったから、頭でもおかしくなっちゃったんだろうか。
キーボードを打つ手を休め、私の顔をじっと見てくる主任の横顔にパソコンの白い光が当たって、そのなんともやつれた感じが、なんだか逆に飢えた獣みたいで怖いのだけど。
「ところで、今夜の予定は? 竹村さんはクリスマスはどう過ごすのかと聞いてます」
「……え、見てのとおり、がっつり仕事ですよ。主任だって同じじゃないですか」
「じゃあ、一緒に過ごせますね」
「……はい?」
けれど主任は、またしてもおかしなことを言ってきた。
〝一緒に過ごせますね〟って、なんか言い方変じゃない? だって、ただ仕事で一緒にいるだけだよ? なんでそんな、ちょっと気のあるようなこと……。
たじろいで一歩あとずさると、ちょうどさっき書き損じたメモ紙が指に当たり、思わずそれをくしゃりと握った。
主任がなにを考えているか、まったくもって理解不能なんですけど……私、どういう反応をしたらいいんですか。
「こう考えることはできませんか? 僕たちは仕事柄、クリスマスは好きな人に会えない。だったらいっそ、職場内で見つけちゃえばいいんですよ」