聖夜は戦場
 
「……しゅ、主任はそれ、本気なんですか……」

「ええ。ここ数年のクリスマスのシフト、誰が組んでいると思ってるんですか? 全部僕ですよ? クリスマスに休みのスタッフだっているっていうのに、ちょっとはおかしいと思いませんでした?」


ごくりと生唾を飲み込み、こわごわ聞いてみると、主任はまたもや事もなげに言う。

得意げに、あるいはちょっとバカにしたようにニヤリと上がった口の端に、それでも頬が熱くなると同時に胸までドキドキしてくるのは、いったいどういう現象なんだろうか。


「そ、それは……私には運がなかったんだなって……そう、思ってて……」

「バカですね、まったく。竹村さんを拘束するくらい、わけないんですから」

「~~~っ。……主任、それ、めちゃくちゃ反則じゃないですか……」


サラリとカミングアウトされた数年分の独占欲に、なんだかもう足元までふらついてくる。

思わずそんなに高くもないヒールの踵がカクンとなってしまうと、主任がとっさに私の腰を引いて支えて、そんな主任にまた強制的にドキドキさせられる。

……もう本当にどうしたらいいの。

急激に主任に〝男〟を意識させられて、頭がおかしくなりそうだ。
 
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