恋の音はすぐそばに
…何か怒られてる?


あ、紫緒先輩に頭を叩かれた。


叩かれたというのに菜緒先輩は笑顔のままで。


何で笑ってるんだろう?


痛くないのかな?


そんなことを思ってると、紫緒先輩にまた頭を叩かれて。


今度のは痛かったのか、菜緒先輩がすごい顔で怒ってる。


「ふふっ」




…面白いのに。


先輩と話せて嬉しいのに。


なぜか虚しくなるんだ。


友達になる前は見つめるだけでよかった。


楽しそうに紫緒先輩や友達といる菜緒先輩を見ていると、私まで嬉しくて。


悲しいこと、辛いことも吹っ飛んでしまう。


だけど…菜緒先輩と友達になってしまったから。


話してしまったから。


笑い会えたから。


自分だけを見て欲しくなってしまった。


友達なんて物足りない。


だけど先輩を振り向かせるほどの魅力は私にはないから。


恋人なりたいのにそれは叶わない。


「ははっ。つらいなぁ…っ」



< 18 / 51 >

この作品をシェア

pagetop