恋の音はすぐそばに
「さてと、天音。私がいいよって言うまで絶対に目を開けたらダメだよ?」


「な、なんで?」


「なんでも」


こうなったら心羽は頑固だもんな…。


「わかった」


ゆっくりと目を瞑る。


私が目を瞑ったのを合図に、心羽が動き出す。


髪を触られてるのは何となくわかるけど…何してるんだろう?


目を瞑ってから5分。


「出来た♪もう目を開けてもいいわよ」


「うん…」


ゆっくりと目を開ける。


「はい♪」


鏡?


手渡された鏡を見ると…。


「ふふっ、可愛いでしょ♪」


鏡に写るのはもちろん私…なんだけど、いつも下ろしている髪は左右で三つ編みにされ、後ろで止められている。


あれ、この髪を留めているゴムって…。


「心羽っ!この髪ゴム!」


心羽がいつも使ってるやつだよね?


淡いピンク色のハートに白色の羽がついている髪ゴム。


昔もらったと、心羽が大切に大事に使っていたもの。


誰にも触らせなかったのになんで…?




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