恋の音はすぐそばに
それからの私はあの時の先輩を探し続けた。


だけど、どんなに探しても先輩は見つからなかった。


あんなにカッコよくて優しいんだから、すぐに見つかってもおかしくないのに。


もう無理だと諦めていた。


そんなある日、サッカー部に入ってるクラスメイトが双子の先輩のことを教えてくれた。


〝昼休みに中庭でサッカーしてるよ〟


やっと掴めた先輩への手がかり。


それが嬉しくて走ってたら、たまたま見つけたのがこの空き教室。


中に入ってみるとビックリ。


だってここ、中庭を一望できるんだから。


そして見つけたんだ。


サッカーをする先輩を。


試合の中心となっている2人の先輩。


先輩たちが双子と知ったのはその試合で菜緒先輩が〝さすが僕のお兄ちゃん!〟と叫んだからなんだけど。


お兄さんに向けるその輝いた笑顔に、私はまた恋をしたんだ。


まぁ、2年生と1年生。


関わることもないのだけど。


それでも…私はこの恋を諦めたくない。



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