恋の音はすぐそばに
そして…。


キキィーーーーーッ!


「天音っ!!」


響き渡る車のブレーキ音。


名前を呼ばれたと同時に包まれる暖かいもの。


──ドンッ!


勢いよく体が道路にぶつかる。


っ…この…におい…はっ…。


ごめ…なさ……。


そこで私の意識はブラックアウトした。








「っん…」


「天音?…っ天音!!」


「…こ…はね?」


心羽の名前を呼ぶと、心羽は安心したように息を吐いた。


白い天井に…白い壁?


それにこの独特なにおいは…。


「天音?わかる?ここは病院よ。気分は大丈夫?」


やっぱり病院なんだ…。


でもどうして私は病院に…?


それに今は何日の何時なの?


ふと、窓から外を見ようと横を見ると、そこには菜緒先輩が眠っていた。


「っ菜緒先輩?!っ…」


「天音!そんな急に起き上がったらダメよ!ほら、横になって」


心羽に支えられ、ゆっくりと横になる。


体が痛いっ。


だけど、それ以上に菜緒先輩のことが気になる。


ねぇ、どうして菜緒先輩が病院の服を来て眠ってるの?


どうして…菜緒先輩は目を開けないの?





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