恋の音はすぐそばに
「…天音、今朝起きたこと覚えてる?」


「今朝?今朝は学校に向かって…」


そうだ、私は学校に行く前に車とぶつかりそうになって…。


頭をぶつけた。


意識を失う前に感じた温かいもの。


そして呼ばれた名前。


ま、まさか…っ。


「心羽っ、私を…助けてくれたのは…っ、菜緒…先輩っ?」


お願いっ、違うと言って…っ。


「そうよ」


ああ、やっぱり…っ。


違うと思いたかった。


菜緒先輩が目を開けないのは私のせい。


私が…2人のことを気にしていたからっ。


ちゃんと周りを見ていなかったらっ。


「菜緒くんは数針縫うほどの怪我だったの。怪我自体はそんなに悪くはないのよ。だけど…打ちどころが悪くて…今は植物状態らしいの」


数針…。


それだけでも大怪我なのに…。


植物状態?


それってよくドラマやマンガで見る、眠ってる状態のことだよね?




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