失恋相手が恋人です
「その時、ハッキリわかったんだ。
俺は沙穂を誰にもとられたくない、離したくないんだって。
……好きなんだって」
さっきの涙は止まったけれど、違う涙で目頭がジンワリと熱くなる。
「あの時……私すごく嬉しかったよ……でもやっぱり言えなくて……」
項垂れる私にふっと微笑む葵くん。
「……急に留学が決まったことも俺は不安だったんだ。
親父と話し合った結果とはいえ、沙穂を置いていくことが嫌だったし……沙穂の顔が見たいけど、見たら決心も鈍りそうになるからさ。
沙穂に不安な寂しい思いをさせてることわかってたんだ……ごめんな」
抱き締めたまま、私の頭を撫でる葵くん。
私はふるふると小さく首を振る。
「……あの日、沙穂に最後に会った日のことだけど」
葵くんは腕の力を緩めて、私の腰の辺りに両手を添える。
一番、誤解が強くて私達が四年間離れることになった核心部に葵くんが触れる。
無意識に私の身体が強張る。
「大学に向かったら教授に急な来客があって。
俺は近くの教室で待っていたんだ。
……そしたら」
私は葵くんの少し辛そうな表情を真っ直ぐ見つめて頷く。
「……知ってる。
歩美先輩、でしょ?」
私の言葉に葵くんは驚いた表情を見せた。
「……この間、本当に久し振りに歩美先輩に会ったの」
私は歩美先輩と萌恵との女子会のことを葵くんに話した。
その時、歩美先輩が私を探してくれたこと、謝罪されたこと、私自身の気持ちを話したことも。
「……そっか、会ったんだ」
私はコクンともう一度頷いてから話す。
俺は沙穂を誰にもとられたくない、離したくないんだって。
……好きなんだって」
さっきの涙は止まったけれど、違う涙で目頭がジンワリと熱くなる。
「あの時……私すごく嬉しかったよ……でもやっぱり言えなくて……」
項垂れる私にふっと微笑む葵くん。
「……急に留学が決まったことも俺は不安だったんだ。
親父と話し合った結果とはいえ、沙穂を置いていくことが嫌だったし……沙穂の顔が見たいけど、見たら決心も鈍りそうになるからさ。
沙穂に不安な寂しい思いをさせてることわかってたんだ……ごめんな」
抱き締めたまま、私の頭を撫でる葵くん。
私はふるふると小さく首を振る。
「……あの日、沙穂に最後に会った日のことだけど」
葵くんは腕の力を緩めて、私の腰の辺りに両手を添える。
一番、誤解が強くて私達が四年間離れることになった核心部に葵くんが触れる。
無意識に私の身体が強張る。
「大学に向かったら教授に急な来客があって。
俺は近くの教室で待っていたんだ。
……そしたら」
私は葵くんの少し辛そうな表情を真っ直ぐ見つめて頷く。
「……知ってる。
歩美先輩、でしょ?」
私の言葉に葵くんは驚いた表情を見せた。
「……この間、本当に久し振りに歩美先輩に会ったの」
私は歩美先輩と萌恵との女子会のことを葵くんに話した。
その時、歩美先輩が私を探してくれたこと、謝罪されたこと、私自身の気持ちを話したことも。
「……そっか、会ったんだ」
私はコクンともう一度頷いてから話す。