失恋相手が恋人です
失恋
萌恵と吏人くんにすっかり迷惑をかけた日から数日が経った。
その間も私は図書室に通ったり、自宅で課題に取り組んだりしていた。
萌恵が一緒の時もあれば一人の日もあり。
だけど。
桧山くんの姿をあれから見かけることはなかった。
まるで、あの姿は夢だったのかな、と思うくらいに。
会いたいわけじゃない。
でも。
姿を見たいと思う私の気持ちは矛盾だらけ。
相変わらず萌恵にそんな私のモヤモヤした気持ちは話せないままで。
もうすぐ夏休みが終わろうとしていた。
そのかわり。
あの日偶然、ぶつかってしまった歩美先輩にはちょくちょく会う機会があった。
いつもたくさんの書物を抱えている歩美先輩だけれど、どんな時も暑さを感じさせない素敵な装いが印象的で。
会う度に、屈託のない笑顔で話しかけてきてくれる歩美先輩は私の憧れの人になっていた。
そう、今日も。
「沙穂ちゃんっ」
背後から声をかけられて、図書室に本の返却に来た私は足を止めた。
振り返ると、柔らかい生地のグレーの半袖ツーピースを着た歩美先輩が手を振りながら立っていた。
「歩美先輩?」
私が返事をしようと口を開いた時、吏人くんの声がした。
図書室から出てきたばかりの吏人くんが私に気付く。
「あれ?
沙穂ちゃん?」
「吏人くん?」
その間も私は図書室に通ったり、自宅で課題に取り組んだりしていた。
萌恵が一緒の時もあれば一人の日もあり。
だけど。
桧山くんの姿をあれから見かけることはなかった。
まるで、あの姿は夢だったのかな、と思うくらいに。
会いたいわけじゃない。
でも。
姿を見たいと思う私の気持ちは矛盾だらけ。
相変わらず萌恵にそんな私のモヤモヤした気持ちは話せないままで。
もうすぐ夏休みが終わろうとしていた。
そのかわり。
あの日偶然、ぶつかってしまった歩美先輩にはちょくちょく会う機会があった。
いつもたくさんの書物を抱えている歩美先輩だけれど、どんな時も暑さを感じさせない素敵な装いが印象的で。
会う度に、屈託のない笑顔で話しかけてきてくれる歩美先輩は私の憧れの人になっていた。
そう、今日も。
「沙穂ちゃんっ」
背後から声をかけられて、図書室に本の返却に来た私は足を止めた。
振り返ると、柔らかい生地のグレーの半袖ツーピースを着た歩美先輩が手を振りながら立っていた。
「歩美先輩?」
私が返事をしようと口を開いた時、吏人くんの声がした。
図書室から出てきたばかりの吏人くんが私に気付く。
「あれ?
沙穂ちゃん?」
「吏人くん?」