失恋相手が恋人です
結局、その夜は私を心配して、萌恵が泊まっていってくれることになった。
圧縮して、置いてあった予備の布団を二人でキャアキャア言いながら引っ張り出して。
お風呂にも交替で入って、眠る準備をして。
ちょっとした修学旅行気分を味わいながら。
布団に入った時、暗闇の中で萌恵が言った。
「……ねぇ、沙穂。
私、やっぱり桧山くんに、きちんといつかどんな形であれ気持ちを伝えたほうがいいと思うよ」
「……え」
「……私も吏人に片想いしていた時、いっぱい悩んだし、自信なんて何にもなかったけど。
彼女に……吏人の一番になりたかったけど。
でも何より、自分の気持ちが限界だったの。
好きって気持ちがイッパイイッパイで。
伝えなきゃ一緒にいることも友達でい続けることも辛いってなってきて。
受けとめてもらえたら一番だけど、そうでなくても、私の気持ちを知ってほしいなって思ったんだ」
「……そうだったんだ」
私は二人が付き合っている状態で出会っているから、二人の付き合う前は全然知らなかったけれど。
こんなにいつもしっかりしていて、吏人くんに甘え上手な萌恵も、私みたいに悩んだり自信なくしたりしてたんだって。
「同じなんだね……」
「恋したら、皆同じだよ。
自信はないし、ちょっとしたことにグラグラするし、自己嫌悪ばっかりになるし。
でも些細なことが嬉しくなったり、自分が嫌なことも苦手なことも頑張ろうって思えたりしない?」
遮光カーテンの隙間からもれる微かな月明かりに萌恵の顔が照らされる。
「うん……」
「だから……ね?
考えてみて」
強く言うでもなく、ただ、淡々と言う萌恵に私はただ頷いた。
圧縮して、置いてあった予備の布団を二人でキャアキャア言いながら引っ張り出して。
お風呂にも交替で入って、眠る準備をして。
ちょっとした修学旅行気分を味わいながら。
布団に入った時、暗闇の中で萌恵が言った。
「……ねぇ、沙穂。
私、やっぱり桧山くんに、きちんといつかどんな形であれ気持ちを伝えたほうがいいと思うよ」
「……え」
「……私も吏人に片想いしていた時、いっぱい悩んだし、自信なんて何にもなかったけど。
彼女に……吏人の一番になりたかったけど。
でも何より、自分の気持ちが限界だったの。
好きって気持ちがイッパイイッパイで。
伝えなきゃ一緒にいることも友達でい続けることも辛いってなってきて。
受けとめてもらえたら一番だけど、そうでなくても、私の気持ちを知ってほしいなって思ったんだ」
「……そうだったんだ」
私は二人が付き合っている状態で出会っているから、二人の付き合う前は全然知らなかったけれど。
こんなにいつもしっかりしていて、吏人くんに甘え上手な萌恵も、私みたいに悩んだり自信なくしたりしてたんだって。
「同じなんだね……」
「恋したら、皆同じだよ。
自信はないし、ちょっとしたことにグラグラするし、自己嫌悪ばっかりになるし。
でも些細なことが嬉しくなったり、自分が嫌なことも苦手なことも頑張ろうって思えたりしない?」
遮光カーテンの隙間からもれる微かな月明かりに萌恵の顔が照らされる。
「うん……」
「だから……ね?
考えてみて」
強く言うでもなく、ただ、淡々と言う萌恵に私はただ頷いた。