失恋相手が恋人です
私は葵くんが好きだから。
既に好きな人がいるから。
だけど、言い出したのは私だから。
傍にいられる切符と引き換えにしたものは私の気持ち。
私はこの気持ちをこれから上手に隠しとおさなければいけない。
叶うことはもうない、私の恋。
それならばせめて。
少しだけでも。
彼の一番近い場所にいたい。
私の自分勝手なワガママ。
「……わかってる、わかってるの。
だけど。
ごめんね、萌恵。
心配してくれていることもわかってるの、でも」
鼻の奥がツンとする。
「……ドキドキしたの、名前を呼んでもらえて。
……信じられなかったの、偽物の彼女でも、彼女にしてもらえて。
……嬉しかったの」
それは私の本音。
彼に届くことのない私の気持ちだ。
「……しんどくなるよ、これから」
「……うん」
ふーっと長い溜め息を一つ吐いて。
「……仕方ないなぁ、応援するよ。
元はと言えば、私がけしかけたことだし。
……だけど、しんどくなったらちゃんと言ってね?
……力になるから」
真剣な面持ちで萌恵は言ってくれた。
「難しいことは色々あるかもしれないけれど……。
今はその立場をできるだけ楽しんでみたら?
桧山くんが沙穂を好きになってくれるように」
「エッッ、そ、それはないよ……」
「何で?わかんないじゃない!
だって、現実にこんなことが起こっているんだし、ね?」
励ますような萌恵の言葉に、心配してくれている気持ちが痛いほど伝わってきた。
私はタンタンっと出来るだけ元気に階段を降りて、萌恵に笑いかけた。
「……ありがとう、萌恵」
「どういたしまして、ほら、行こう」
萌恵に促されて私達は食堂へと向かった。
既に好きな人がいるから。
だけど、言い出したのは私だから。
傍にいられる切符と引き換えにしたものは私の気持ち。
私はこの気持ちをこれから上手に隠しとおさなければいけない。
叶うことはもうない、私の恋。
それならばせめて。
少しだけでも。
彼の一番近い場所にいたい。
私の自分勝手なワガママ。
「……わかってる、わかってるの。
だけど。
ごめんね、萌恵。
心配してくれていることもわかってるの、でも」
鼻の奥がツンとする。
「……ドキドキしたの、名前を呼んでもらえて。
……信じられなかったの、偽物の彼女でも、彼女にしてもらえて。
……嬉しかったの」
それは私の本音。
彼に届くことのない私の気持ちだ。
「……しんどくなるよ、これから」
「……うん」
ふーっと長い溜め息を一つ吐いて。
「……仕方ないなぁ、応援するよ。
元はと言えば、私がけしかけたことだし。
……だけど、しんどくなったらちゃんと言ってね?
……力になるから」
真剣な面持ちで萌恵は言ってくれた。
「難しいことは色々あるかもしれないけれど……。
今はその立場をできるだけ楽しんでみたら?
桧山くんが沙穂を好きになってくれるように」
「エッッ、そ、それはないよ……」
「何で?わかんないじゃない!
だって、現実にこんなことが起こっているんだし、ね?」
励ますような萌恵の言葉に、心配してくれている気持ちが痛いほど伝わってきた。
私はタンタンっと出来るだけ元気に階段を降りて、萌恵に笑いかけた。
「……ありがとう、萌恵」
「どういたしまして、ほら、行こう」
萌恵に促されて私達は食堂へと向かった。