失恋相手が恋人です
再会
「お先に失礼します」
今日中に仕上げなければいけない書類を片付けて。
パソコンの電源をオフにして私は立ち上がった。
「お疲れ様」
「また明日ね」
近くのデスクの同僚から声がかかる。
私はニッコリ微笑んでオフィスを出た。
……葵くんと別れた日から四年が経った。
あの時、精神的にも体力的にもボロボロ状態だった私を救ってくれたのは他ならぬ萌恵と吏人くんだった。
出発時間が迫る中、葵くんは吏人くんに連絡したらしい。
私とどうしても話したいと吏人くんに懇願した葵くん。
吏人くんは直ぐに萌恵に連絡をとり、萌恵が私のマンションに駆けつけてきた。
吏人くんから大体の事情を聞いていた萌恵は、酷い状態の私を一目見て、何も言わずにただ抱きしめてくれた。
葵くんと話すかどうかだけを萌恵は私に聞いて。
私が首を振ると辛そうに頷いて、吏人くんに連絡をしてくれた。
結局私は、それ以来葵くんと話すことはなかった。
悲しすぎる、忘れてしまいたいほどの記憶なのに所々鮮明に覚えている。
それから。
私が落ち着くまで部屋に泊まり込んでくれた萌恵とたくさんの話をした。
殆ど私は泣いてばかりで、話にもならなかったと思うけれど。
時には吏人くんも私の様子を見に来てくれていた。
「……歩美先輩、東堂先輩と別れたらしい」
ある日、吏人くんがぽつりと話してくれた。
わかっていたことだったから、然程ショックは感じなかった。
ただ、やっぱり、と思った。
「桧山が今、歩美先輩を好きだったかどうかはわからないよ。
俺は桧山は誰よりも沙穂ちゃんのことか好きだったと思うよ……」
そう言って吏人くんは萌恵によく似た優しい瞳で微笑んでくれた。
今日中に仕上げなければいけない書類を片付けて。
パソコンの電源をオフにして私は立ち上がった。
「お疲れ様」
「また明日ね」
近くのデスクの同僚から声がかかる。
私はニッコリ微笑んでオフィスを出た。
……葵くんと別れた日から四年が経った。
あの時、精神的にも体力的にもボロボロ状態だった私を救ってくれたのは他ならぬ萌恵と吏人くんだった。
出発時間が迫る中、葵くんは吏人くんに連絡したらしい。
私とどうしても話したいと吏人くんに懇願した葵くん。
吏人くんは直ぐに萌恵に連絡をとり、萌恵が私のマンションに駆けつけてきた。
吏人くんから大体の事情を聞いていた萌恵は、酷い状態の私を一目見て、何も言わずにただ抱きしめてくれた。
葵くんと話すかどうかだけを萌恵は私に聞いて。
私が首を振ると辛そうに頷いて、吏人くんに連絡をしてくれた。
結局私は、それ以来葵くんと話すことはなかった。
悲しすぎる、忘れてしまいたいほどの記憶なのに所々鮮明に覚えている。
それから。
私が落ち着くまで部屋に泊まり込んでくれた萌恵とたくさんの話をした。
殆ど私は泣いてばかりで、話にもならなかったと思うけれど。
時には吏人くんも私の様子を見に来てくれていた。
「……歩美先輩、東堂先輩と別れたらしい」
ある日、吏人くんがぽつりと話してくれた。
わかっていたことだったから、然程ショックは感じなかった。
ただ、やっぱり、と思った。
「桧山が今、歩美先輩を好きだったかどうかはわからないよ。
俺は桧山は誰よりも沙穂ちゃんのことか好きだったと思うよ……」
そう言って吏人くんは萌恵によく似た優しい瞳で微笑んでくれた。