失恋相手が恋人です
「沙穂、コッチ、コッチ!」
いつかの大学の食堂のように萌恵が手を挙げる。
今日は萌恵と月に一度の女子会の日だ。
社会人になってからお互いの環境は変わったけれど、電話だけではなく、会って話すことだけは二人で大切にしている習慣だ。
七夕が近い金曜日の午後七時過ぎ。
外気は近付く真夏の暑さをもう含んでいる。
白いフレアスカートの裾を翻して、私は急ぎ足で向かう。
「遅くなってゴメンね……っ」
今日のお店は最近新しくオープンした話題のイタリアンレストランだ。
私の勤務先から二つほど隣の駅前にある。
真っ白な壁に大きな窓が印象的な建物だ。
女子会のお店は、私と萌恵が交代で選んで、予約している。
今回は萌恵が選んで予約してくれた。
二人で前回の女子会の時に行きたいね、と話していたお店だった。
できるだけ早く仕事を終えたつもりだったけれど、既に萌恵は着いていた。
店の奥から手を振ってくれてる萌恵に近づいた時。
私の足が止まった。
「お久しぶり、沙穂ちゃん」
萌恵の向かい側の席で、ニッコリと相変わらずの美貌で微笑むその人は。
「……歩美先輩」
その人だった。
いつかの大学の食堂のように萌恵が手を挙げる。
今日は萌恵と月に一度の女子会の日だ。
社会人になってからお互いの環境は変わったけれど、電話だけではなく、会って話すことだけは二人で大切にしている習慣だ。
七夕が近い金曜日の午後七時過ぎ。
外気は近付く真夏の暑さをもう含んでいる。
白いフレアスカートの裾を翻して、私は急ぎ足で向かう。
「遅くなってゴメンね……っ」
今日のお店は最近新しくオープンした話題のイタリアンレストランだ。
私の勤務先から二つほど隣の駅前にある。
真っ白な壁に大きな窓が印象的な建物だ。
女子会のお店は、私と萌恵が交代で選んで、予約している。
今回は萌恵が選んで予約してくれた。
二人で前回の女子会の時に行きたいね、と話していたお店だった。
できるだけ早く仕事を終えたつもりだったけれど、既に萌恵は着いていた。
店の奥から手を振ってくれてる萌恵に近づいた時。
私の足が止まった。
「お久しぶり、沙穂ちゃん」
萌恵の向かい側の席で、ニッコリと相変わらずの美貌で微笑むその人は。
「……歩美先輩」
その人だった。