桜龍
みんなを見ると楽しそうで、あの頃を思い出してしまう…

似ても似つかないのにそれでも思い出してしまうのはきっと、あたしが未練を残してあの場所を去ってしまったからだと思う

会いたいと願っても、あいつらは会ってはくれないだろう

みんなの反対を押し切って辞めて、そんな総長を誰がまた会いたいと言うだろう

今、思っても仕方ないのにね…

「紘…?」

『ん?』

隣にいたみなくんに声をかけられ我に返った

「どうかしたのか?」

まだ、みなくんにはあたしが九龍総長だった事は教えてない

ここで、知ってるのはたっくんだけだ…

『何でもない…』

ちゃんと、みなくんやけいちゃん、あきちゃんにもあたしが〔九龍12代目総長〕だって言えるかな?

「そうか…」

ごめんね、みなくん

心の中で謝っておいた

「そういえば、ゆうをな、俺の弟して戸籍変更したから!」

やっぱりみなくんの弟にしたんだ…

『そっか…戸籍変更ちゃんとしたんだね…』

まぁ、あれだけ揃っていればすぐに実行すべきだろう

ゆうくんを育てていく気があるのなら…

「あぁ、やっぱり悩んだけどまなねぇとけいと話し合った結果やっぱり俺の弟とした方がゆうのこれからのためだと思ってな!」

一応みなくんのほうがけいちゃんやまなねぇより正統派だもんね…

あたしもそれで正解だと思う

『それでいいと思うよ、ゆうくんが幸せになれるなら…』

ゆうくんを見ればあたしに抱きついたまま眠ってしまっている

「ゆう、寝ちまったか…いつもなら、自分の部屋で寝るのに紘が居る時は紘の側で寝たいんだな…さすが、母親がわりだっただけあるな…」

ゆうくんの頭を撫で、こんな騒がしいところじゃあ起きてしまうと思い部屋へ連れて行こうとしたらみなくんに止められた

「うるさくても、紘の腕の中で眠らせてやれよ。5年近く会ってなかったんだろ?」

確かに、そうかもしれない

「きっと、寂しかったんだと思うぞ。お前を母親として見てたんだから…」

そっか…そうだよね…

甘えたかった時期に母親としてあたしがいなかった…

「ここにいる時くらいは出来るだけ一緒に居てやれよ!なっ!」

みなくんにウインクされ、

『そうだね…』

「ついでに、紘たちが来る前に風呂は入ってるから寝ても大丈夫だ!前の時、紘たちが帰った後に入れたんだけど、いつも以上に、元気でな…大変だったからな」

そういえば、前回の時お風呂に入らずに寝かせちゃったな…

て、事はこれは寝間着なのかな?

『ゆうくんの今着てる服って寝間着?』

見るからに違う気がする…

「いや、普通の服だけど、まぁ、これで寝ても大丈夫だろう」

まぁ、そうか…




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