桜龍
黒のベンツがポツンと止まってた

朝方だから確認しなくてもわかった

近づくと、ドアを開け涼が出てきた

「おはよう、紘ちゃん」

うん、嘘っぽい笑顔を見せてくれた

まぁ、クセなんだろうね

『おはよう、ごめんね!こんな早くに』

涼が迎えに来るなんて言わなければこんなに早くはなかったのにな…

「いいよ!どうぞ!」

ドアを開けてくれたので乗り込んだ

運転手はいつもの人だ

『すみません。こんな朝早くに』

ぺこりと頭を下げると

「いいですよ!」

ルームミラーであたしを見て言ってくれた

サングラスをしてるので、口元しかわかんなかったけど、口角は上がっていた

――パタン

ゆっくり、走り出した

「昨日は体調大丈夫だった?」

みんなは、二日酔いだろうけどね

『うん、ただ寝不足なだけだったから』

あたしと、涼は寝不足なだけだったんだろうなー

「それは、よかった!みんなは、二日酔いだったよ!」

そりゃ、そうでしょうね…

呆れ顔を見せると

「今日の夜には、帰ってくるの?」

えっ!

『迎えに来てくれるの?』

驚いた顔をすれば

「もちろん!」

さも当然のように、言った

送ってもらおうと思ってたのにな…

『ありがとう!』

申し訳なさすぎる…

「いえいえ、連絡くれれば迎えに来るから」

にっこりと、微笑んでくれた

「着きましたよ。」

運転手の人に言われて駅に着いたことを知った

涼が先に出てドアを開けてくれた

「じゃあ、いってらっしゃい!気を付けてね!」

そう言って見送ってくれた

『うん、行ってきます。』

あたしもそう言って駅で切符を買い改札を抜けた


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