桜龍
電車に乗り3つ目の駅で降りた

改札を抜けると駅の出入口に車が止まっていた

――ガチャリ

運転席から霜月が出てきた

「おはようございます。紘様、おかえりなさい。」

後部座席のドアを開けてくれた

『ただいま、連夜の調子はどう?』

パタンと、ドアを閉めてくれた

すぐに、運転席に乗り込んだ霜月は

「はい、昨日紘様がご説得してくださったおかげでその後は絵本を來一様が読んでくださりそのままお眠りになりました。」

良くなったならよかった

『そう。でも、今日も安静だね!』

フフフと軽く笑い

「そうですね!」

そう言って霜月も言った

「着きました。」

霜月と話してたら本家に着いた

『ありがとう。』

門の中に車が入り、ドアを開けられた

「あっ!お嬢!おかえりなさいませ!!」

敷地内にいた組員に声をかけられた

『ただいま!組長と姐さんは?』

聖さんのことは、組長

栞菜さんのことを、姐さん

組員にはそう呼ぶようにしている

もちろん、組員全員あたしが2人の娘なのは知っているがあたしも組の一員なのだ

だから、2人には敬意を払わなければいけない

「お部屋にいらっしゃいますよ!ご案内いたしましょうか?」

部屋か…珍しな…

『いいよ、ありがとう』

部屋にいるなら自分で行ったほうが早いだろう

「いいえ!」

そう言って掃除を始めた

あぁ、掃除の途中だったのか…だから、ホウキが傍に倒れてたのか

玄関の引き戸をあける

――ガラガラ

「おかえりなさいませ!お嬢!」

わぉ…

数人の組員に迎えられた

『ただいま、組長と姐さんに用があるんだけど、どこにいるの?』

外の組員は部屋だと言っていたが、この男に聞いた方が確実だ

前田 琉依斗(まえだ るいと)(23)

若いながらに聖さんと栞菜さんに気に入られている。

組の若い奴らのリーダー格の人間だ

「お二人とも部屋です!」

部屋か…

『わかった』

そう言って、部屋へ向かった







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