桜龍
あたしは、連夜と暮らすために屋敷の中ではなく、離れに一軒家を建ててもらってそこにあたしと連夜と霜月の3人で暮らしている

――ガチャ

『ただいまー!』

トテテテ

「ママー!」

あたしに向かって連夜が駆け寄ってくる

あたしは、連夜を抱きとめ

『ただいま!連夜!』

ぎゅっと抱きしめてあげる

「走っては危ないですよ!連夜様!おかえりなさいませ。紘様!」

連夜に軽く注意しながらあたしを迎えいれた

『ただいま!さぁ、部屋に行こう!』

3人で部屋に向かった

リビングには來一がいた

「おっ!おかえり。」

あたしに気付き声をかけた

『久しぶり。ただいま!』

リビングのソファーに連夜を膝に乗せながら座った

「熱も下がったし、問題ねぇって医者も言ってた。安心しろ。」

あたしが心配してたことを伝えてくれた

たぶん、あたしが帰ってきた理由がこの為なんだろうとすぐに、わかったんだろう

ほんと、察しがいいやつだ

『そう、よかった!ありがとね、來一』

無理なお願いだったのに快く引き受けてくれたこいつは、族時代からの付き合いだ

「礼には及ばねぇよ!ここで仕事させてもらってるし、部屋も勝手に借りてるし、ここで住まわせてもらってるようなもんだしな!」

そういえば、家に帰りたくないとか言ってたね…

ストーカー紛いの女が家をうろつくとか言ってたな…

『ここに住めば?』

そう言えば驚いて

「はっ?いいのか?」

いいのかって…

『いいよ!連夜の面倒を見てもらってるし、連夜もそばにいてくれた方がいいだろうしねー』

あたしは、なんのお礼も出来ないけどここに住めばストーカー女から逃げることは出来るだろうし、連夜も喜ぶだろうし…

「でもよ、ここはお前らの家なんだろ?よそ者の俺が住む訳にはいかねぇよ!むしろ、連夜と遊ばせてもらってるんだから、俺の方が感謝しなきゃなんねぇんだぞ!」

いやいや、遊ばせてもらってるって…

『なんで、來一が感謝するだよ?』

こっちが感謝しなきゃなんねぇだろう…

「そりゃ、連夜と居れば今まで行けなかったところや行きたかったところに行けるんだぜ。しかも、全ての金払ってもらってるしな…俺が行きたくて行ってんのに…」

あぁ、なるほど…

『いいんだよ、連夜が楽しいなら!金は、気にすんな!で、ここに住めよ!』

ちゃんと、言っとかないとうやむやになれそうだったので

「おい!話飛びすぎてんぞっ!まぁ、助かるわ!どの道親はもういねぇし、部屋の更新も来ててどうすっか悩んでたんだよ!」

一人暮らしなら余計にここに住んでもらった方がいい

『気にすんな!後のことは、霜月がやるから!部屋には行くなよ!あの女にバレるからな』

來一が行けばあの女はついてくるだろう

「はい、後のことはこちらで対応いたしますので!お部屋から持ってきて欲しいものなどありますか?」

当然のように霜月が言うので唖然として

「えっと、今はほぼこの家の部屋に持ってきてるので…家具くらいですかね…」

家具か…

『その家具って、買い換えるとかダメ?持ってくることは出来ても、あの女が気づくような気がする…』

家具という大きなものを部屋から出すってことは勘ぐられるだろう

「いや、別にいいけど…まだ、服とかアクセサリーとか、本とか部屋にあるから」

なるほどね…

「でしたら、お部屋の解約の時に衣類などはこちらに持ってきます。処分するものなどがあればこちらに運んでから、こちらで処分しますので。」

霜月ならあの女に気付かれることなく対処出来るだろう

『家具とかは今度霜月と買いに行きなよ!値段とかは気にしなくていいから!』



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