桜龍
あたしは、更衣室用に仕切られてたカーテンを引いた

『みんなー!見てー!大和撫子達ですよー!』

クラス全員がこちらを見た!

「「「おおー!すげー!」」」

歓喜した

「紘!スゲーな!!」

ナオが興奮並みに言ってきた

「これなら、売上1位も夢じゃねぇな!」

しゅうも優勝が見えてきたのか嬉しそうだった

あたしも、勝負魂が燃えてしまって本気を出してしまった

『当然、やるなら1位でしょ!その為に本気で着飾ったんだから!』

「これなら、狙えるぜ!」

ナオもしゅうも一段とやる気になっている

『問題は声だよね…』

そう、どんだけ着飾っても男性なのだから声だけは変えられない

「あー、筆談にすればいいんじゃねぇ?」

しゅうが提案した

『筆談…』

それは、いいかも!

「おっ!それ、いいじゃん!」

そうとなれば

『じゃあ、女装組は筆談にしようか!』

「そうだな!」

ちょっと楽しみになってきた!!

「あっ!ついでに紘も衣装合わせしようよ!ついでだし!」

ナオが何気なく発言した

うわー!忘れてくれてると思ったのに

『当日でいいよ…』

「いいじゃん!ほら、衣装持って着替えに行こう!」

女子更衣室はないので、あたしは女子トイレに押し込まれた

最悪…

もう覚悟を決めて着るしかないのか…

大きなため息をつき個室に入った

肩の傷が見えないように長袖の肌着を着てきてよかった…

巫女服に着替えタイツを履いた

靴は用意されなかったので、バックル付きのヒールにした

巫女ということで、シンプルなヒールにしたおかげで変に目立つことはなかった

覚悟を決めて女子トイレから出た

『教室に戻ろう』

トイレの前で待ってた二人に声をかけた

ドアを開けた瞬間にみんなの視線がこちらに向く

「え…かわいい…」

「細いな…」

「スタイルいいんだな…」

みんながコソコソ話してるのが気になる

『やっぱり似合わないから当日は制服でよくない?』

恥ずかしくなってきた…

「そんなことないよー!」

「似合ってるぜ!当日はこれで決定だな!」

ナオもしゅうも気を使わなくていいよ…

似合ってないのは分かってるんだから…

やっぱり当日は着物にしようかな?

あー、でも、着物はもうないんだった…

予備で持ってきた振袖しかなかったんだったなぁ…

まぁ、いっか…振袖で…

重いけどキチンと着なくても花魁風でもいいよね…そうしよ…

左肩を見せなければいいんだもんね…右肩だけ出せば花魁風に見えるし…

「よーし!みんなー!売上1位狙うぞー!」

「「「おー!」」」

ナオの掛け声にクラス全員が吠えた…

着替えよ…

制服を持って女子トイレに行った

今日は少し肌寒いと思ったのでタイツを履いたままでいいかと思いそのままにした

教室に戻り女装組の着物を脱がせメイクを落とさせ、教室の準備に取り掛かった

あたしは、細かい作業と全体のセッティングを任された

開催まで日にちもないので、みんな急ピッチで仕上げていった

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