桜龍
涼のクラスのお化け屋敷はけっこう外見からリアリティがあった

『わお、涼のとこ凄いねー!』

あたしのクラスも力を入れて喫茶店を作り上げたけど

さすが、3年生って感じ

「ふふふ、中もリアリティだよー!」

へぇー、おもしろそう

『じゃあ、入ってみようか!』

ちょっとワクワクする

「お化け屋敷なんて、ガキらしい」

後ろを向くと晶が興味無さそうにしてた

「紘が入るなら俺も入ろうかなー!」

花音がそう言えば

「お前、ホラー系全般的にダメだったろ?大丈夫か?」

玲音が疑ってる

「だ、大丈夫だもん!玲音こそ、ダメだったんじゃないの?」

「あー、俺の場合はホラー映画がダメなだけ!あれは、キモいから」

ふーん、玲音は大丈夫なんだ…

「紘はー?大丈夫なの?」

あたしはって…

『うん、お化け屋敷って面白いよね!』

どのお化け屋敷も人間なんだって分かってるとどうやって驚かそうとするのか見るの面白いし

「へぇー、お化け屋敷が面白いとか言うのってガキじゃねぇ?」

晶なんて、入ろうとも思ってないのによく言えるな…

「ねぇ、晶」

ん?なんか後から殺気を感じる

「あ?なんだよ?ひっ!」

晶があたしの後ろにいた人物に目を向け怯えた

あー、もしかして…

「ガキっぽい?」

歩きながら晶に近付く鬼さん、いや、涼さん

「い、いや…いいんじゃねぇ?」

おーい、さっきまでの威勢はどうしたのー?

「だよね!入るよね!」

おっ!だんだん鬼が消えてるよ!

ここで、頷けば

「入りゃいいんだろ!どうせ人間なんだしよ!怖いわけねぇだろ!」

なんで、そうやって無駄な1言言うのかな?

「うん、人間なんだから怖いわけないよね!」

あっ!ヤバイ…

後ろ姿からでも分かる

涼は、怒っている…

『じゃあ、入ろうよ!どうやって入る?1人ずつ行く?』

もうこれ以上晶が余計なことを言う前に誰かが収拾を付けないと

花音と玲音は、ビビってるし…

魁人は、興味なさげにあくびしてるし…

「いいねー!1人ずつ行く?」

あっ!鬼が消えた…

「それは、ダメだよ!」

花音が止めた

「こいつ、怖がってるから1人ずつってのは酷じゃねぇ?」

玲音が笑ってる

「怖がってなんかないよ!」

精一杯の強がりだよね…

「じゃあ、2人1組で入ろうよ!そうすれば、3組出来るしね!」

「俺も入ることになってんのかよ…」

こら、魁人

せっかく収拾付けてやったんだからこれ以上悪化させんな!

『そうしよっか!じゃあ、いくよー!』

みんな、手を出した

『わーかれーましょっ!』



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