桜龍
それって、つまり…

『晶、お化け屋敷怖かったの?』

「怖いわけねぇだろ!こんなもん!」

でも、涼に怒ってるってことは

『じゃあ、なんで涼に怒ってんの?怖くなかったんでしょ?だったら、なんで怒ってんの?』

「そうだよ!晶!」

涼は、殴られそうになってんのに余裕で晶をなだめてる

「1発殴んなきゃ気がすまねぇ!」

まったく、このバカは…

ぐっ

殴ろうとしてる腕を引っ張った

『すぐ暴力で解決しようとしない!』

「そうそう!」

なんで、涼はそうやって煽るのかな?

涼を睨むと、あたしを見て不敵に微笑んでる

大丈夫だと言ってるような気がする

腕を離すと、それを待ってたように涼に向かって拳が飛ぶ

スカッ

軽やかに避けた

「暴力反対ー!」

楽しむかのようにまた煽るように言った

「涼!てめっ!」

なるほどね…

晶をおちょくって楽しんでるんだね、涼

花音と玲音が、晶を宥め次の出し物へ行くことになった

「さっきは、ありがとね!」

いつの間にか涼が横に来ていてお礼を言ってきた

『いいえ、結局腕離しちゃったし…まぁ、避けれると思ってたけどね…』

涼なら、あたしが止めなくても避けれてたと思う

「ふふふ、確かに避けれるように態勢は整えてたよ!でも、魁人しか今まで気づかなかったことによく気づいたね!」

あー、またやっちゃった…

『涼が無計画に晶を煽ってるわけないでしょ!晶の性格を考えれば…』

そう、晶はただの単純バカと言える性格の人間だ

怒りの沸点が低く、喧嘩っ早い

きっと今までたくさんの暴力沙汰を起こしているだろう

それを処理してるのはたぶん涼だ

たっくんなら、そんなこと気にせず

「それも青春だ!」

とでも、言いそうだけど…

「ふふふ、やっぱり紘ちゃんは鋭いね!」

涼は、肩を震わせながら笑っている

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