桜龍
「まぁ、許してやれよ!姉ちゃんだって必死だったんだからよ!」

『いや、別に許すもなにもあたしそこまで怒ってないし』

そう、探して連れ戻したらまた同じことをやらされていたらブチギレだろうけど、探せなかった理由があったにしろ、あたしはそれでよかった

「ごめんねぇ、紘ー!今度は前の5分の1でもいいから仕事してくんない?」

『しない!』

「えっ!やってくれないの!」

なに、ビックリしてんの?当たり前でしょ!

『当然でしょ、あたしが逃げたのは契約を破られたことにも怒れたからからなんだけど』

あたしは、契約以上のことに対しての仕事には多少のことには目をつぶってきたきけど、

『今回の件は契約を無効にされた反発の1つなんだよ』

「…あたし自身は破ったつもりは、なかったのよ…」

そんなのわかってる

ただ、あたしにだって意見を言う権利くらいあるはずなのに

『まなねぇにとっては、そんなことかもしれないけどあたしにとっては、まなねぇを裏切ってでもやりたくないことだった…』

まなねぇは、もの凄く申し訳なさそうな顔をしている

そんな顔をさせてるのはあたしだということは分かってる

けど、今のあたしは自由には動けない

動けばあたしだけじゃない…

あたしの大切な人たち全員が傷つけられる…

そんなこと絶対にさせないためには…

「あたしは、紘に謝らないといけないことをしたのに、紘はあたしを責めないのね…」

『まなねぇを責めてもなんにも変わらないでしょ。だって、まなねぇに謝ってもらう必要もないから今まで通りあたしのお姉ちゃんの1人でいてほしいと思ってるよ!』

にっこりともう怒ってないよという意味も込めた笑みをまなねぇに向けて久しぶりに向けた気がした

「紘、ありがとうね!」

ぎゅっと優しく抱きしめてくれた

『いいえ、こちらこそ』

そっとまなねぇの背中に手をまわした

その様子を大人しくみてたゆうくんが

「ずるい、ボクもー!」

と、こちらに手を伸ばしてくるのでクスリと笑い

『はいはい』

ぎゅっと抱きしめてあげた





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