桜龍
『そう、その通り。ゆうくんは、母親から虐待を受けてた。ゆうくんの父親がゆうくんの母親に暴力をしてたみたいで、ゆうくんの母親が耐えきれなくて、幼いゆうくんを連れて逃げたみたい』

あたしから、ゆうくんの過去を誰かに話すのは初めてかもしれない…

ゆうくんには、幸せになって欲しい

ゆうくんの母親は未婚の母親だった…

元々は好きでもなかったけど、押されて付き合うようになってゆうくんを授かったみたい

結婚をしたいがために、ゆうくんを産んだみたいだけど彼氏は結婚するとは1度は言ったみたいだけど、なんかうやむやになってしまったらしい

そこの詳しい事情は彼女自身も知らないと言っていた

暴力に耐えられなくて、逃げたのはいいんだけど…

だんだん暴力してきた彼氏の顔に似てきてしまうゆうくんに恐怖を抱き、怖くて虐待をしてしまったらしい

「どうやって、紘ちゃんは、ゆうくんが虐待を受けてるの知ったの?」

やっぱり、そこ気になるよね…

『えっとー、初めて会ったのはあたしの家の近くの公園だったんだけど、すごいケガしてたから家に連れてってケガの処置をしながら、事情を聞いたら母親にやられたって言ってたから、それであたしが守ろうと思った』

うん、ものすごく支離滅裂だったかも…

「なるほどね、じゃあ、今は誰がゆうくんを育ててるの?ここにいるってことは?」

みなくんと、まなねぇは顔を見合わせ

「とりあえず、あたしの弟として周りには通してあるけど…」

あら?まなねぇの方だったんだ…

「と、言ってもほぼ世話してんのは俺とけいかなー?まなねぇは、仕事で結構ここにいねぇし、ゆうも俺らの方に懐いてるしなっ!」

まぁ、そうだよね…

みなくんは、子供によく懐かれる…

だから、ゆうくんもみなくんの方に懐いているのだろう…

あれ?でもどこで…

『ねぇ、どうやってゆうくんのこと知ったの?』


あたしは、ゆうくんのことが外に漏れないように、あたしの世話役と2人で育ててたのに

「あぁ、霜月(しもつき)さんから聞いたんだよ。それで、ここならたくさんの目もあるし俺も居るからってことで頼まれたんだよ!」

霜月は、あたしの執事でもあり、世話役でもあった

『そう、霜月が話したんだ…いつ聞いて、いつから預かったの?』

あたしは、自分の事情で霜月にゆうくんの世話を任せてた

「たぶん、紘が逃げてたときくらいに、ちょうど紘ん家に行ったんだよ。」

なんですとっ!!

『えっ!うちに来たの?』

「あぁ、そのときにゆうを見たんだよ。で、霜月さんが紘を探すためにお願いしますって預かった」

と、いうことは

『霜月にはあたしの居場所は教えてたからあたしを探すという理由はないよ、考えられることは、ゆうくんのことをあの人達に知られないようにするためか…』

だから、あの時霜月は「大丈夫です、侑斗(ゆうと)様は信頼のあるお方にお任せしました。」って、言ってたのか…

やっと、理解出来たわ…

「まぁ、今は預かってる状況だけどそろそろ戸籍変更しねぇとヤベーよなー!」

戸籍変更まだしてなかったんだ…

『だれの弟とするの?みなくん?』

みなくんは、困り顔で

「まぁ、俺かなー?まなねぇは無理だし、けいは論外だしな…」

あっ、けいちゃんは論外なんだ・・・

「てか、ゆうの母親にゆうの保険証とかその他のものも必要だろうしな、ゆうの母親に会わねぇといけねぇよな…」

ゆうくんの保険証?

『ねぇ、ゆうくんを預かる時に霜月からゆうくんの衣類と一緒に小さめなファイルを預からなかった?』
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