桜龍
特に何もすることがない…

――PPPPP

ん?ケータイ

電話だ、誰だろう?

ディスプレイに〔霜月〕の文字

どうかしたのかな?

――ピッ

『どうかしたの?』

「紘様、霜月でございます。お困りのことはございませんか?」

あぁ、引越しだばっかだもんね…

『大丈夫だよ、心配かけてごめんね』

自分勝手なあたしをいつも支えてくれる

本当に感謝してる

「いえいえ、紘様がご健康で過ごされていらっしゃるならそれでいいのです。」

ほんとに霜月は優しい、あたしとそんなに歳も変わらないのに

こっちに来てもやっぱり気になるのは

『あの子は?元気?』

このことである

「はい、体調にはなんの問題もないのですが、やはり紘様がお側にいらっしゃらないのが寂しいご様子で…」

『そう…』

やっぱり無理をしてでもやめた方がよかったかな…

「ですが、最近、來一(らいと)様がよくいらっしゃって寂しさを紛らわせようといろいろな所に連れて行ってくださってます。この前は公園へ連れて行ってくださり遊具で遊んでいただきました。とても、楽しそうでした。また、お写真をお送りします。」

よかった。來一に、頼んで本当によかったな…

來一は、あたしの全ての秘密を知る1人だ

あたしの起こした問題も知った上で協力してくれている

來一なら、あの子も懐いていたみたいだからダメ元で頼んだら、なんと二つ返事で快く引き受けてくれたのだ

『頼んだのは正解みたいね、來一に忙しかったら相手しなくていいって伝えといて』

來一にだって、仕事があるのに、忙しい中相手をしてくれているのだ

「あっ!その件なのですが來一様から伝えて欲しいと言われたことがございまして」

伝えたいこと?

『何?』


「はい、「俺を信頼して頼ってきた事だから、俺は相手をする方を優先する。トップにも許可はもらってる。」だそうです。」

トップが認めたのか…

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