桜龍
車から降りて涼の後に付いて歩き、階段を登って扉を開けてくれた

――ガチャッ

中には魁斗しかいない

「あれ?あの2人は?」

「外へ行くって」

魁斗の答えを聞いた涼は、ため息をつき

「呼び戻すように行ってくる。紘ちゃんはソファーにでも座ってて。飲み物でも持ってくるよ。何がいい?」

飲み物か…

『なんでもいいよ』

変わったものじゃなければ大抵のものは飲めるはず

「わかった。じゃあ、何か持ってくるね。ちょっと待ってて」

涼は、幹部室から出ていった

1人がけのソファーに魁斗が座り、3人掛けのソファーに晶が横になっているのに気付いた

二日酔いかな?

それもそうか…

じゃあ、あたしは晶の向かい側ののソファーに座ってもいいのかな?

そうなると魁斗が斜め右になる。

近くなるな…

けど、隅に座るのも変だし、仕方ないか…

『ここに座ってもいい?』

とりあえず、魁斗に聞いて了承を得たので、座ることにした

チラリと晶を見れば

『二日酔い?』

魁斗に問う

魁斗は、今朝違うと言ってたけど

「だろうな、俺もあいつも酒には強いが飲み比べでこいつは、スピードを考えずに飲んだからな」

呆れ顔でため息をついている

てか、みなくん…

未成年者飲酒推進してるようなものだよ

「紘も昨日結構な量飲んでたけど大丈夫か?」

そーいえば、あたしも結構な量のカクテルチューハイ飲んだな…

『全然大丈夫だよ。とりあえず、言っておくけど初めて飲んだわけじゃないからね。あたし、どう思われてるか知らないけど、そこまでいい子じゃないから』

あたしを普通の子と思ってくれてることは、凄く嬉しいことなのだか申し訳ない感がハンバなくて、言わずにはいられなかった…

「ふっ、そうかよ」

クツクツ笑われた

なんか面白いこと言ったかな?

――ガチャッ

「もう少しで来るみたい。はい、紘ちゃん。」

涼が戻ってきた

手には白いマグカップを持っていて、そのマグカップを渡された

香りからしてココアだろう

『ありがと』

マグカップを受け取って1口飲んでみた

『おいしい…』

「ふふふ、ありがとう。」

ビックリした…

自分でもココアを作るがこんなに美味しくは、作れない

『どうやって、作るの?』

聞かずにはいられなかった

単純に、こんな風に作れるといいなと思い
作り方を聞いたみた

涼は、軽く笑い

「簡単だよ。ココアパウダーに少しお湯を加えてペースト状にして温めた牛乳を加えるんだよ。俺は混ぜている時に少し無塩バターを入れてみたんだ。」

バターを入れたからこんなにコクが出るんだ

なるほど

『今度作ってみるね!』

これなら、あの子も喜んでくれそう!

「うん、無塩バターも美味しいけど、クリームの生乳の方も美味しいよ。」

なるほど…クリームの生乳に無塩バターか…

――ガチャッ

「ただいま、何なんだよー!涼ー!遊んでたのに」

ん?

「久々にゲーセンに行ってたのに」

んん?なんか見たことある顔なんだけど…

「あっ!これで揃ったね!」

2人の男の視線があたしを捉えた

「紘…?」

金髪にも近い髪色の男があたしの名前を呼んだ

『え?』

この顔見たことある

「えっ!紘…」

焦げ茶に近い髪色の男もあたしの名前を呼んだ

この顔も見たことある

『玲音(れおん)?と、翔音(かのん)?』

自然と出た名前

伊織 玲音 (いおり れおん)16歳

伊織 翔音 (いおり かのん)16歳

一卵性の双子だ…

「紘…なのか?」

玲音がたどたどしく聞く

『うん、久しぶり』

にっこりと、微笑んだあたし

「わー!紘ー!」

こげ茶の方、つまり翔音が抱きついてきた…

しかも、思いっきりお腹目がけて飛んで来たので

『ぐっ』

見た目はかわいいが翔音も男なわけでそんな男の子に思いっきり抱きつかれたら

『く、苦しい…れ、玲音』

金髪に近い髪色の男、つまり玲音に助けを求める

ぼーとしていて、名前を呼ばれたことに我に返ったように

「翔音、離せ!紘が苦しそうだぞ!」

慌てて助けてくれる

「えっ!あ、ごめん!大丈夫?」

やっと解放されて

『う、うん、大丈夫…』

真面目に翔音に絞め殺されるかと思った…

「えっ!3人とも知り合い?」



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