桜龍
魁斗と涼、それからこの騒ぎで起きた晶もビックリしている

「翔音、女嫌いは?」

涼の質問に

「紘は、いいの!大丈夫なの!」

意味の分らない返答をし、翔音がプイッとそっぽを向いた

「知り合いっつーか…なんつーか…」

玲音があたし達の関係を話そうとしてる

そうだ、この2人はあたしの家の事情、つまり裏事情までは知らないんだ…

『家ぐるみの付き合い?』

これが、ほぼ正解だ…

「家ぐるみ?」

涼に再度聞かれた

「まぁ、そうだよねー!」

翔音が肯定した

『ちょっと、待ってて。玲音、翔音、ちょっと来て』

部屋の隅に呼んだ

『あたしが金持ちの娘だってのは秘密にして!それから、今からいうことに対して肯定だけして!お願い!』

静かにお願いをした

「でも…」

玲音が渋い顔をされる

『お願い、あたし家のことにあまり触れられて欲しくないし今、結構複雑になってるから!』

この2人がどこまで知っているのかは知らないがあたしが金持ちの娘だってことは知っている

「まぁ、紘がそういうのなら理由があるんだろうし、協力はするよ!なっ!玲音」

翔音が快く承諾してくれた

このような場合は、翔音の方が玲音を納得なせてくれる

「そうだな…分かったよ…」

まだ、渋い顔をしているが了承してくれた玲音

『ありがと』

話が終わり、ソファーへ戻り説明をすることにした。

『で、どこから知りたい?』

もちろん、全て正直に答える気はないがここは、事実半分、嘘半分と対応しよう。

あたしに対しては嘘を混じえ、玲音と翔音のことはほぼ事実を伝えた方がいいだろう。

涼の情報収集能力がどこまでなのか計り知れないからどこまで知っているのか謎だが、変に思われないように対処しなければ

「とりあえず、3人はどんな知り合いなの?」

そうだよね、そこが気になるよね…

涼なら、気になると思ってた

『簡単にいえば、幼なじみかなー?あたしの親と玲音たちの親が仲良くてよく遊んでたの。けど、玲音たち家族が引っ越してからあたしたちは会えなくなってたんだけど、親同士は手紙のやり取りをやってたみたいで2人の写真は見せてもらってたよ。』

嘘半分、事実半分

上手に使えれば、嘘も事実となる。

もちろん、手紙は来ていたしそれをあの親が見た後であたしも見ていた。

これは、事実だ。

「手紙は来てたみたいだけど、写真は、なかったなー!俺らもよく紘だと分かったよなー!」

そりゃ、あの親にとってあたしは、道具だから必要最低限しか会わなかったからな…うん、仕方ないことだ

『あの頃の雰囲気があったとか?』

それなら、納得いくんだけど…

「なんだろうねー?でも、顔見て何となく紘なのかな?って思ったよー!」

だよね…

あの頃とは随分あたしも変わったし、あたしの周りも変わった

だから、あの頃の雰囲気があるのは有り得ない

翔音は、あたしの隣に座って話している

「つまり、3人とも幼なじみってことだよね?」

まぁ、幼なじみってことは間違いではないし

『まぁ、そんな感じ。』

会ってなかったのは事実だし、あの親と玲音たちの親と仲良かったことも本当だ

玲音がソファーに座った晶の横に座った

「翔音の女嫌いも紘ちゃんなら大丈夫みたいだから、本当なんだね!紘ちゃん、本当に知り合い多いねー!」

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