桜龍

仕事の顔

スマホを取り出し、ある人へ電話をしようとした

――pppppp

ディスプレイに今から電話しようとしていた人の電話番号が表示された

――ピッ

『はい』

今からかけようとしていた人から来るとは思ってなかった…

「あぁ、俺だ…」

変わらない奴だな…

『アンタから連絡が来るとは思っていなかったよ…しかも、こっちへ連絡してくるとはね…』

いつもなら、仕事用の方へ連絡が来るのに…

「まぁ、迷ったんだけど仕事とプライベートの事だからなぁ…一緒に聞いても構わねぇだろ」

構う構わないよりも、仕事なら電話じゃなくてもいいんじゃないの?という疑問を持ちながらも

『今から連絡しようとしてたから、今回はよしとするよ…』

「今回は、か…じゃあ、次から気をつけねぇとな!ははは」

笑ってるけど、絶対に気をつける気なんてねぇだろうな

『で、要件は何?』

なんとなく、察しはつくけど…

「あぁ、まずは仕事のことで、聞きてぇことがあるだけどよ…」

仕事の方から来たか…

『アンタがあたしに聞きたいことって、どうせ今回の仕事のことだろ…』

いつもなら、自己判断で仕事をやっていく奴なのに…

「今回は特別なんだよ、なんたって、あの御方の依頼なんだからよ…」

あの御方…?あぁ、ここに来る前にあたしがカタを付けた案件か…

『それは、あたしがカタを付けたはずでしょ、今更何なの?』

また、面倒なこと言ったんじゃねぇよな…

「いや、仕事の結果的には満足らしいんだけど、なんかもっと攻撃して欲しかったって的なことを言われて…」

やっぱり、面倒な事を…

『今回の案件は、盗まれたデータを取り返し、相手の全コンピュータを故障させて欲しいってのが依頼だったんだから間違ってはいないでしょう』

攻撃は今回は最小限に抑えて案件を速やかに対応したんだけど

「仕事依頼としては、間違っちゃいねぇみたいなんだけどよ…」

確かコイツはあいつに命を救われてあたしの元へやって来たから文句が言えねぇって事か…

それなら、そうと言えばいいのに…

『そいつに連絡を繋げろ…あたしが話をしよう』

もう、こいつに言ってもダメだ…

コイツはあいつを信頼しすぎている…

「えっ…大丈夫なのかよ?」

そこまで怖いのかよ…

てか、あたしがお前を犠牲になんかしねぇよ…

『それで構わねぇ…繋いだらお前も聞いてろ!但し、口出しは許さねぇからな!』




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