桜龍
ホントに能無しとはコイツの事を言うのだな…

『なら、貴方の悪事を全てぶちまけますね。貴方は1人でこの事を対処出来るんですもんね。では、今までお世話になりました。さようなら。』

「おい!待て!」

――ブチッ

『Tiger、聞いていたように全てをぶちまけろ。お前のことは心配ない、お前の事はあたしとリーダーが守ろう!だから、今のことを組織全員に通達、通達次第全てをぶちまけろ!あいつがこの世で生きていけないくらいに!』

Tigerにも、聞こえるようにしておいてよかった…

「それは…」

ホントにこいつは、優しいからこそ付け込まれる

『これは、最高幹部としての命令だ、聞けないようならお前がどうなろうともこちらはなんの手助けもしない』

元々いつ切れても問題相手だったのだ…

それが今、切れただけの事

これは決定事項なのだ

ひどい言い方になっても実行しなければならないのだ

「あの人はそんなに悪い人なんだろうか?俺を助けてくれたのに…」

本当にこいつは…

こいつだけは、あいつを信じ続けていたいんだな…

『とりあえず、説明してやるから通達、実行しろ。話はそれからだ。』

「…了解。」

――ピッ

1度電話を切った

『人を信じきるのって簡単に出来るもんじゃねぇんだよ。人は誰しも闇を抱えながら生きる者。今のお前じゃあ想像も出来ないだろうな…』

1人呟きを発し、もう一本タバコに火を付けた

一本目は電話の時にすぐに消してしまったしな…

――pppppppp

――ピッ

「今、伝達終わりました。すぐに実行されるそうです。」

仕事上はあたしがこいつよりも上だからこそ、こいつもあたしに対しては敬語を使う

もちろん、仕事に対してはだ

パートナーの時は、敬語はなしという事に決めたのだ

『そうか、Tigerご苦労。じゃあ、お前の知りたい事を教えてやるよ。もちろん、あたしが知ってる範囲でのことと、あたしに対しての質問には答えないからな。』

こいつは、あたしの過去のことをしつこく聞いてくる。

前なんてあたしの事を調べようとして幹部に見つかり処罰を受けている

「あの人は、そんなに悪い人なのか?俺を拾ってくれたのに」

お前の弱点の一つだな…

『あいつは、お前をいい道具にしか思っていなかった。もちろん、あたし達は都合のいい道具かもしれないが、あたし達は人間だ。感情がある。そうだろ?』

「そうだな、それが何?」

ここまでは、理解が出来て当然だろう

ここからだ…

『あいつは、お前に対して感情なんか必要ない。いい道具として、使えれば拾った価値がある。そう言ったんだよ。随分前にあたしにな。』

そう、あいつはあたしにTigerについてそう言ったのだ

「そんな…」

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