桜龍

Tigerにとったら、信じ難い事実だろうがこれをきちんと受け止めなければ、こいつは前を向いて行きていけないと思う

『Tiger、厳しいことを言う様だがお前の弱点は人を信じすぎる。もちろん、信じるな、とは言わないがきちんと人を見分けろ。お前の弱点の一つだ。』

当然のことで何も考えれてないのだろう…

何も発しない

｢俺は道具なのか？都合のいい道具だったのか？｣

あぁ、だから直接伝えるのはあたしじゃない方が良いって言ってたのに

まぁ、あたしは、元こいつの教育係だったからこそ伝えなければならない事なのだろうが

『あいつはそう言ったが、お前は都合のいい道具なんかじゃない。ちゃんと感情を持っている人なんだよ！だから、あたしはお前をここまで育てた。あたしと組めるまでにしたんだ。』

そう、あたしは元々組んでいたパートナーとは仕事上では上手くいっていても、他の事となると意見がぶつかり合ってしまって仕事どころではなくなってしまったので苦悩の策でパートナー解消とした

そして、アイツからTigerを預かった

｢こいつは、俺が拾った道具だ。しっかり使えるようにしてくれよ。｣

そう言ってあたしにTigerを託した

もちろん、Tigerに対して厳しい様な事をさせ続けていればすぐにでも潰してやろうと思っていたけど…

思った以上にあいつが能無しだったので、そこまでする必要がなかったのだが…

ここまでアホで馬鹿な依頼人を抱えていたらこちらのデメリットでしかないと考えた結果なのだ

もちろん、元々はあたしの依頼人だったから簡単に切れたのだがこれが、他の奴の依頼人だとまた面倒なことになるからあたしは今まで依頼人を早々簡単に切ることはしなかった

少なくともこちらにメリットがあったから

けど、あいつはなんのメリットもない。
ただの金の猛者だ、金がすべてだと思っているからそれがなくなったら、あいつがどうなるのかそれを見てみたいのだ。

｢俺が今まで信じてきた人は嘘の人物だったという事か…ハハハ、笑えるな…俺はバカだ…拾われた恩からあの人のためになる事をして来たつもりだったのに…あの人にとったら俺は都合のいい道具だったという訳か…｣

笑ってはいるが、電話の向こうでは信じてきたものが嘘だと気付き、泣いているのがわかる

今のこいつに仕事をさせても失敗するだけだ

――失敗だけは、何がなんでも許されない。失敗した人間は排除する。――

これがあたしたちハッカーの暗黙のルールの一つだ。