爆走姉貴ー星路の苦悩ー
「ほら!この髪型!これだって美月にやられたんだからな!」


泣きたくなってきた俺は、今ある証拠に自分の頭を指差し主張してみた。


だが……。



「うふふ…星ちゃん、ユニークな髪型ね。こんな俳優さんいなかった?ねぇ、あなた」
「あの俳優かな?大泉……」

「洋はもういい!」



山下智久なんだよ!
美月に大泉洋にされたんだよ!


「美月がさ!こう…ブオオオ―って風かけてさ!」
「エアーを入れてくれたんじゃないのかしら?」
「母さん?!入れる必要性がわかりませんが?!」





って言うか!
俺の髪型ってマジそれにしか見えねぇの?!


爽やかな朝に襲う、あられもない暴言の数々!



どうして誰も俺を理解してくれないんだぁ――!!







「星路、あまりパパとママを困らせちゃダメだよ」
「美月!」



リビングに顔を出した美月は、やれやれと言いたげに肩をすくめて…半笑いしてやがる!


お前が元凶だろ?!
何を正義ぶってんだ!



「星路…世の中、思い通りにいかない事はある」


興奮覚めやらぬ俺の肩に手を置き、いきなりしんみりと語り出す美月。


………何?
< 10 / 114 >

この作品をシェア

pagetop