爆走姉貴ー星路の苦悩ー
「必ずなるぞっ!」
「何になりたいんだ?」


あ、やべ。
拓也に聞こえた。
魂の決意が……。



「いや…あのな、俺は実は…」
「ふぅん、まぁいいや」


――まだ何も言ってないのにっ!




「雅治、で…女の子はどんな子なんだ?」
「ああ、話の続きな」


俺に振った疑問はどうした?!
つか放置プレイかよっ!


あああ…こんなだから美月みたいな奴がのさばるのにぃ〜…。





「実はさ、この前、バイト先の先輩に連れて行ってもらったキャバクラにいた女の子でさ」


キャバクラ?



雅治は週に3日、ホストのバイトをしているんだ。





「いいのかよ?バイトといいキャバクラといい。お前の親父は警察署の署長だろ?」
「かたい事言うなよ、星路。バレなきゃ大丈夫だって」


雅治は、にやりと悪ガキみたいな笑顔でごまかす。

バレたら親父さん、懲戒免職じゃねぇの?


まぁ、雅治はうまくやるだろうな。
社交的で世渡り上手だから。


男で泣き落としが通じるのは、童顔の雅治くらいかも。



俺はほぼ毎日、美月の理不尽さに泣かされてるけど、キモい言われてる。

美月にだけど。
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