爆走姉貴ー星路の苦悩ー
美月の憎たらしい表情を思い出し、舌打ちする俺の前では、拓也と雅治が女の話で盛り上がっている。




「リンちゃんって言うんだけど、素人であの可愛さは反則だと思うよ」



リンちゃん?


「日本人?」
「ああ、源氏名だろ」


リン…嫌な名前だな。




昔飼っていたポメラニアンの名前がリンだった。
リンは、美月が可愛がっていた犬。




美月は、事もあろうに俺の夕食のハンバーグをリンに与え、代わりにドッグフードを皿に盛りやがったんだ!



俺は、それに気付かずに食べちまった……。


美味しいと全て平らげてしまったんだぁ――!!







美月が8歳、俺が5歳の時の苦い思い出…。

あの頃の美月は、変に女っぽい所はあったが、まだ瑞樹(男の子)であった。

しかし、俺を苦境に虐げる性格は今と変わりは無い。



いや、年々パワーアップしている。
女の姿(豊胸手術後)になってからは更にだ。



確かに美月は美人だが、どこをどういじれば、あれだけ傲慢で迷惑で我が儘な自信が湧き出てくるんだろう。




だから俺は、女という姿に疑心を抱く。


美月と同類なんじゃないか?と。
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