爆走姉貴ー星路の苦悩ー
交尾を終えた時、産卵の為の滋養強壮にオスを食べるカマキリのメスだ。


俺には見える…。
死に神が持つ様な大鎌を振り上げ、暗黒を背景に笑う美月の姿が!



美月、美月。


何が美しい月だ!
馬鹿野郎!!




「っ…うっ!痛!!」


突然、俺のみぞおちに、捩られた様な激痛が走る。

額には脂汗。


「どうした?星路」
雅治が、机に突っ伏す俺の背に手を添えてきた。


「…腹痛が」
「腹痛?」
「俺の身体には、美月を罵倒した時の衝撃が刻まれているんだ…美月がこの場にいなくとも、その衝撃は罵倒を心中で呟くだけで発動される……わかるだろ?」
「悪ぃ、全然わかんねぇ…」




俺は、俺が恐くなる時がある。

美月がいなくても、美月に与えられた苦痛が俺をじわじわと蝕んでいる現実がだ。



やっぱり、あいつは悪魔だ!





「ソレッて精神的なもんじゃねぇの?カウンセリングとか受けてみれば?」
「カウンセリング…美月が学んでいる」
「身内にいるならやってもらえよ」
「あいつにできるのは自殺教唆くらいだ!」


大体、美月の前で素直に美月を語れるか!
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