爆走姉貴ー星路の苦悩ー
語った日には、語り終えない内に、おれは跡形も無く消え失せてしまうだろう。

恐ろしい…。



「うう…俺、拓也みたいに一人っ子なら良かった」
「そんなに恐いのか?姉貴は」
「悪魔だ、あいつは。俺が女を疑うのは、全て美月を基準に考えてしまうからなんだ」
「それ言ったら、美鈴も疑ってる事になるだろ」
「なっ…!何を言う!美鈴は違う!美鈴は美月の様に汚れてはいない!」



美鈴は、俺の彼女だ。
唯一、俺が信じている女。

私立の女子高に通っている。


美鈴とは、拓也を通じて知り合った。

拓也と同じ中学であった美鈴は、拓也のファンであると言う友人の付き合いで、バスケの練習試合を見に来ていたんだ。


同級生なんだと、拓也に紹介された。


『真田美鈴です』


腰までの淡い栗色の癖のある髪、小さな顔に浮かぶ、明るい色の大きな瞳。


微かに白い頬を染め、恥ずかしそうに笑う美鈴は、愛らしい可憐な少女というイメージ。




可愛い子だろ?と拓也に言われ同感はしたが、俺の中ではやはり、危険信号が点滅していた。

美月の擦り込みが襲っていたんだな。
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