爆走姉貴ー星路の苦悩ー
くそ……負けない。
俺は負けないぞっ!


美月に負けてたまるか!





「なぁ、星路。お前が美鈴を信じられるって事は、世の中にはお前の姉貴みたいな女ばかりじゃないって証拠だよな」


腹を押さえてうなる俺の背をさすりながら、拓也がしみじみと語り出した。

雅治がその隣で、うんうんとうなづきながら腕を組んでいる。



何だ、突然。



「まぁ、それはそうだけど…」
「だろ?そうなると、キャバクラのリンちゃんも、必ず姉貴と同類とは言えないよな?」


確かに。



「俺達は若い。経験が必要だろ?人と出会い、知り合い、その中で学び成長していくものだろ」


そうだ…。
そうなんだよ!

やっと気付いたのか!
お前ら!




「うん、そうだよ!その通りだ!」
「だろ?と言う訳で、今夜俺達三人は、人生の経験の一つとして、キャバクラに行く事に決定したからな」
「そうか!経験を重ねるんだな!だからキャバクラに……」






………キャバクラ?






「っ?!行くの?!」
「そう言ったろ」




嘘だろっ?!


「俺も行くの?!」
「行くの」




えええぅ――――っ!!
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