爆走姉貴ー星路の苦悩ー

悪い予感は必ず当たる

夜8時。

駅前で待ち合わせした俺達三人は、リンちゃんがいると言うキャバクラへと向かった。



街はネオンの光に溢れ、スーツ姿のサラリーマンや、店の呼び込みらしき男性が歩道を行き交う。



「知ってるか?店の呼び込みって、身体に触れて誘った場合、強制になり罪になるんだぞ」
「星路、そういう知識だけは豊富だよな」


当たり前だ。
俺は弁護士を目指しているんだからな。

騙されない為の知識だ。
弁護士が騙されたら本末転倒だろ。



駅前から歩いて5分。

「あ、この店だよ」

立ち止まった雅治が差したのは、ひときわ大きく派手な看板が掲げられた店。


「…ブリリアント・ローズ」
「さすが拓也、発音がいいな」


ブリリアント・ローズ?



「行くぞ、星路」


店の黒いドアの前、振り向いて呼ぶ二人を前に、俺は思わず後退りをした。



嫌だ。
何か嫌な予感がするっ!

どうしたんだよ?と顔をしかめる拓也と雅治。



「ダメだ…俺はここには踏み込めない」

「今更何言ってんだ」
「本能が危険だと訴えてきている!俺の心に意識が伝えてきている!」
「そんなお前の方が何げに危険だけど」
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