爆走姉貴ー星路の苦悩ー
長い髪を指先で弄びつつ、美月はかったるそうに、前髪の下から俺を睨み上げる。


寝起きらしい。


ミニのベビードールからは、美月自慢の脚線美が覗いている。

手術で手に入れた豊満なバストも。




「つ―か!何でベビードールなんか着てんだよ!」
「何で?似合うからに決まってんじゃん。かわいいだろ〜?」




美月は笑いながら、裾を指でつまんで一回転。


いや、似合ってるかもだけど…何か納得いかないのは俺だけか?



「あれ?星路パーマかけたのか?」


眉をひそめる俺に、美月は瞬きをする。


それから首を傾げ…。



「…大泉 洋か?」
「美月が今後ろからドライヤーあてたんだろうが!だから大泉になっちゃったんだろ?!」


せっかく整えたのに!
しかも大泉洋って何だよ!!


「人のせいにすんなよ。それって自分に余裕が無い証拠だよねぇ」


ぐああっ!
ムカつく!
美月にだけは言われたくねぇ――!

男のくせにベビードール着る奴なんかにぃっ!



「まぁ、大泉洋でもスチールウールでも何でもいいや。早く退け」




……スチールウール…ひでぇ…!
< 6 / 114 >

この作品をシェア

pagetop