爆走姉貴ー星路の苦悩ー
やべっ!
俺の鬼姉が美月だってばれたのかも!





あ…でも……その方がいいのか?




ほら、だってその方が、美月に騙されずに済むかも?


美月の極悪さと狂暴性について、語り尽くせぬ程に語り続けてきたんだ。

今こそ、その動かぬ実証を明かせた訳だし!



いくら美月が可愛くても、あれだけの凶悪ぶりを目にしたら、いくら拓也でも引くに決まってるさ!



余計な事を言えばと美月に言われたが、俺は何も言ってないし!


余裕じゃん!!







未だ焦点が合わぬままの拓也。





そうだ、その調子だ!
目を覚ますんだ!
今ならまだ間に合う!
正気を取り戻すんだ!





俺は、呆然と立ち尽くす拓也へと、一歩足を踏み出した。


だが――。







カツ―――――ン!!


「痛ぁっ!!」




突如、後頭部を襲われた衝撃に、俺は思わず頭を抱えてうずくまる。


何だっ?!





頭を撫でる俺の視界…地面の上に頃がっているのは………。





………美月の…ヒールの折れた靴?



「何すんだよ!美月!」





怒りから振り向いた俺の目に映った映像は…。
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