爆走姉貴ー星路の苦悩ー
「リン…頑張ったの…怖かったけど頑張ったの」
「うん、見てたよ。リンちゃん頑張ってた!」




おいおいおいおい!!

見てたならわかるだろ!拓也!
楽しんでた美月の姿をさ!

楽しそうに笑いながら、生き生きとチンピラを殴ってたよな?!
正に至福の表情だっただろ?!




「リンね…もうダメかと思ったの!でも、拓也くんが居てくれたから、だから…」
「そんな細腕で怪我したらどうするんだよ」






怪我?!
誰が?!
美月だけは無傷!


俺の隣に立つ、血まみれで顔の形すら留めていないチンピラ様の存在を否定するのか!!

美月がやったんだぞ?!



なぜそんな簡単に騙される?!
現実を見ろよ!







開いた口が塞がらない…。

そんな俺の視線の先では、拓也の腕の中で、悪魔の様にニヤリと笑う美月の表情……。




うわぁ――…。

拓也、正に手の平の上で転がされてるぞ?









「あなたも…何か言ってやれば?」

隣のチンピラに思わず声を掛けてしまった。




「いえ、自分は不器用な人間ですから…」
「なぜ高倉健口調なんですか」




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