爆走姉貴ー星路の苦悩ー
「ああ…そうか…だよね」
「姉として弟を気遣う気持ちから…」

「何納得してんだっ?!二人!!」



しかも気の毒そうな眼差しまでプレゼントしてくれなくていいから!

余計ウツになる!




「ま、世の中こんな偶然もあるかもね☆」


美月が言うな!
しかも、かもね☆って…あややのモノマネか?

どこまで他人事として語れば気が済むんだ?




言っても無駄だ。
美月は話を聞かない種類の人種代表だから。


自分の話を押し付けるのは得意だけどな。
あとは、ギャラリーの心理操作とか。



自分にとって都合が良い流れに状況を運ぶのは、もはや美月の才能。
自分だけが得をすればいいんだからな。


ここまで徹底した利己主義は、今の政治家やお偉いさんにも無いと思う。





美月は、予想外な事態にかけては天下一だな。
それに対して、有り得ないくらいの順応性と機敏さも合わせ持つ。

つまりは、美月自体が有り得ないって話だけど……。




「星路さん、烏龍茶をどうぞ」


溜め息を吐き出す俺の前、テーブルに置かれたグラス。


「まだ居たんですか?チンピラさん…」
「蔵野っす」
「…はぁ」
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