爆走姉貴ー星路の苦悩ー
この人も可哀相に。

俺がぶつかりさえしなければ、美月に利用される事も無かったのに。




「うう…」

ごめんね、蔵野さん…。

「何泣いてるの?星路」
「きっと、姉の思いやりが、星路の心に染みたんだよ」



思いやり?!
どこを見れば思われていると言えるんだ!
拓也!



「もう…星路ったら。涙なんか流しちゃって」


美月はニコリと笑いながら立ち上がり、俺へと手を伸ばし…。





「痛っ!!」



いきなりデコピン?!



「星路、上も下も緩めすぎだゾ!」


下もっ?!

つか、今のデコピンで額が鬱血して痛いんですが?!





「よし!弟の為に、ここは一つ美月さんが新人さんをテーブルに呼んであげよう」


新人さん?



「いいよね、エッグ」
「姉さんのご希望とあらば!」


スポンサーはやはり蔵野さんなんだ?

エッグと呼ばれる事自体が屈辱なのに…。

ひどい奴だ、美月。





「昨日入ったばかりなんだけどね、可愛い子なの。あたしの次くらいに」


人を誉めつつ、自分を立てるか?
さすが美月。


あまりにも堂々としていて、嫌な清々しささえ抱くよ。
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