爆走姉貴ー星路の苦悩ー
時計は3時半。
少し早く来過ぎたかも。



俺は端の方の窓側の席に座り、ぼんやりと外を行き交う人を眺める。


運ばれてきたホットコーヒーを一口飲み、その温かさを感じながら心を落ち着かせる。




美鈴の言う理由とは何だろう。
もしも俺にとってショックな理由なら……。


いや、美鈴を信じなきゃ!今までそうしてきたじゃないか!


大丈夫だ。
きっと大丈夫!

美鈴は俺を裏切らない。





「そうかなぁ?」
「そうだよ!」
「女心は変化しやすいよ」
「美鈴は違う!」
「彼女とキス以上できない男なんて、他で発散してるかもぉ?って思っちゃうよ?」
「そうなのっ?!」



って誰!
俺に不安を投げかけるのは!





「はぁい、星路」
「―――美月ぃ?!」



俺のテーブルの向かいには、美月が立ってたぁ!




「星路ったら考えすぎ☆」
「なななっ!」



何で美月まで来るんだよぉ!



美月は、黒いロングニットのワンピースの裾からレースのペチコートを覗かせたファッション。

黒いスウェードのロングブーツ、首に巻いた白いストール。


弟の俺でさえ、可愛いと感じてしまう。
< 79 / 114 >

この作品をシェア

pagetop