爆走姉貴ー星路の苦悩ー
いや、見守るという台詞自体、その場しのぎの美月の方便だったに違いない!

だよな?!
大人しく状況を見守るタイプじゃないし!


また騙されたのかよ、俺!








「あ…え……?美月さん……」






あ……………。

美鈴が気付いた!







牛タンで俺を叩いていた美月も、呆然と立ち上がる美鈴の驚いた顔には、さすがに動きを止めた。




………は、甘かった。






しまった…と呟いた美月は、いきなりパチンと指を鳴らす。




「エッグ!」
「はい!姉さん!」




威勢の良い返事をした蔵野さん。
エプロンのポケットからリモコンを取り出し、なぜかスイッチオン。




何だ……?
次はどんな罠がくるんだ!




姿勢を低く構え、店内を見渡す俺の耳に、子供の頃から聞き慣れたリズムが……。







♪ラジオ体操!第一!よぉ〜〜い!♪




有線のオシャレなピアノ演奏曲が、突然ラジオ体操になったぁ―――!!


何でだぁっ?!






ここはどういうジャンルの店なんだよ!
いきなりラジオ体操はねぇだろっ!



おかしすぎる―――!!



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