男気スイッチ

『 それに今日は特別ゲストの恵子も連れてきたよ。』 隼人は不覚にも恵子を見て黒団のメンバーの子だとばかり思っていたのである。 『もしかして あの 高校時代同じクラスにいたあの村上恵子ちゃん？』 『久しぶりだね。私変わったでしょ。』 隼人の記憶によると、恵子は小学校から高校までたまたま一緒だった数少ない人間であり幼なじみの舞の親友でもあった。しかし隼人は恵子と決して仲が良かった訳ではなかった。隼人は恵子を特に意識してはいなかったが、高校の頃、恵子が自分の事を好きだと言う事を、クラスの女子の一人が自分に話した事により、何故か意識的に恵子を避けるようになったのだった。 大人しく消極的な態度の彼女を当時の自分 は受け入れられず、つい冷たく突き放してしまったのだ。 少なからず隼人の中には恵子との思い出はこれと言ってない。当時の彼女と比較すると、たしかにあか抜けたと言うか、一皮剥けたというか、自信に満ちた表情から以前の彼女とは違う印象を受けたことは確かだった。